コブラ会 (ドラマ)
Netflixオリジナルドラマ。
第1,2シーズンはYouTube Red/Premiumで配信されたがNetflixが権利を買取りその後のシーズンを制作したかたちだ。これは1984年から1994年にかけて上映された映画『ベスト・キッド』(原題:『The Karate Kid』)4部作の正当な後継作品である。
まずはこの企画を実現していただいたスタッフに感謝を述べたい!
映画の30年後が描かれるのである。映画館で観ていた世代からするともうなんということか!と叫びたくなる企画ではないか。
かつてのメインキャストがリアルタイムで歳を重ね再登場する本作はコンテンツを観る我々にとって奇妙でいて幾重にも楽しさを味わえるものに仕上がっている。簡単にいうと「いろいろとオイシイ」のだ。序盤でおとな達がみせる演技のぎこちなさ、映画では語られなかったプロット、かつての登場人物のその後等々。
主人公を執拗にいじめる生徒に舐められないよう空手のトレーニングを積み、やがては相手に勝つといういわば王道の流れはあるがまもなくして親世代(かつての主人公たち)子供、学校の生徒を巻き込み一種の群像劇の様相を呈するようになる。登場人物の一人一人にフォーカスを当てつつも痛快な展開に終始するオムニバス形式といったほうが正しい。この辺りの流れは好みが分かれるかもしれない。
ジョニーとダニエルとの間にあるわだかまりは大人になっても健在で、劇中で起こるさまざまなトラブルの殆どは実は彼らの仲の悪さやすれ違いから来ているのではないかと思うくらい印象的だ。本質的には同じだが歩んできた人生が異なるためまたそこに誇りを持つがゆえに解り合えない。観ている側は期待を持ちつつ「あーもう」と軽い失意を繰り返すことになる。続きが気になる気になる。
彼らの子供世代が織りなす青春ドラマパートも見逃せない。ハイスクール、まだ子どもでも大人でもない彼らであるが故の葛藤や失敗、恋愛などが今風に、ときには80年代のオマージュとして描かれる。基本コメディなのだからこれくらいで良いのだ。
音楽やスポーツなど己のスタンスを明確にしていれば「カッコよかった」時代はもうなく多様性が重視されるようになり、どこか取り残された感じがする大人にとってジョニーの今をなんとかしてやろうとする姿勢には大いに共感できる。彼は新しいことにチャレンジしつつもその中で自分のスタイルを生かそうとする。それは必ずしもうまくいく訳ではないがそこから新たな気づきが生まれ次はもっとうまくやろうとする。月並みだが不器用だが前に進もうとするおっさんの姿がカッコいいのだ。